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2026.06.17
日本新聞
十分な審議を尽くした再審法見直しを
4678号1面
十分な審議を尽くした再審法見直しを
政府案で政府与党と参政党が合意。政府案の強行採決ではなく、検察官の抗告全面禁止、全証拠開示明記の議員立法案に近づける審議を
6月12日、再審制度を見直す刑事訴訟法改正案が衆院法務委員会で可決した。政府与党に加えて参政党が賛成に回った。16日の衆院本会議で可決し、衆院通過の見通しだという。
可決された政府案は、検察の抗告禁止を原則とし、「十分な根拠があれば抗告できる」としている。検察は再審を拒否するのではなく、再審の法廷で堂々と主張すればいい。いたずらに再審を遅らせ、えん罪を着せられた被害者を苦しめる検察の抗告は断固禁止すべきである。また、証拠開示の目的外使用禁止も大きな問題だ。修正された政府案で、改正法施行後5年ごとの見直し対象となる制度として、開示証拠の目的外使用禁止と検察官による証拠一覧表開示を入れたというが、あくまで付則に入れたに過ぎない。
国会で「検察官の抗告は原則禁止で、抗告は例外で極端に少ないということですね」という質問に刑事局長は「一概にどちらが多いとは言えない」と濁している。結局今までと同じで、「特段の理由がないから抗告する」となりかねない。
参政党が賛成に回ったことで、与党少数の衆院でも政府案が可決・成立の危険性が高まってきた。
冤罪被害者のための再審法改正を!と集会開かる
国会での審議の最中、6月8日、衆議院第一議員会館で「今こそ国会の出番!えん罪被害者のための再審法改正を」集会が開催された。
日弁連再審法改正推進室長の鴨志田弁護士から、今日までの経過について詳しい説明があった。
「再審法改正については2年前に国会議員の皆さんが超党派で134名で議員連盟を作ってくれた。右も左も関係ない。人権、人道の問題だ。昨年の通常国会閉幕時には加入議員388名。衆参両議院の過半数。議員連盟提出の法案には全証拠開示、検察官の抗告は全面禁止、有罪判決に関わった裁判官をその後の再審請求、再審公判に関わらせないなど、すべて含まれていた。秋の臨時国会でも継続審議になっていたが、今年1月の衆院解散ですべて廃案となった。
今、政府案と議員立法案が出されている。政府案の検察の抗告原則禁止、証拠の目的外使用禁止、これを修正しなければならない。証拠が請求人に直接開示されるようにしなければならない。
当事者は高齢化している。大崎事件の原口さんは99歳、名張毒ぶどう酒事件の元被告は亡くなり、妹さんは96歳、今は第11次再審を闘っている。狭山事件の石川一雄さんは去年亡くなり、妻の早智子さんは79歳。国会は唯一の立法機関。民意を立法に反映させてほしい」
冤罪被害者の切実な訴え
袴田ひで子さん(再審無罪となった袴田巖さんのお姉さん)は「袴田事件が起きた時、私は33歳だった。再審無罪になった時、91歳になっていた。再審法改正を実現していただきたい。いい証拠も悪い証拠も全部出してみていただく。袴田事件も証拠が出てきて、支援者が味噌漬け実験をやったりしてえん罪を晴らした。人間の作った法律を改正できないことはないはずだ」と訴えた。
石川一雄さんの妻の早智子さんは「62年間、狭山事件の犯人とされ、旅立ってしまった石川一雄の妻です。第4次再審を私が請求した。証拠を開示してほしい。鑑定尋問してほしい。再審を開始してほしい。制限のない証拠の開示を国会議員の皆さん、頑張ってほしい。私達が、国民が見守っている。夫は亡くなった今も見えない手錠をかけられている。その無念が晴れるように願っています」と切々と訴えた。
「証拠は検察官のものではない。冤罪被害者のものだ」という村山浩昭弁護士の言葉は説得力があった。
現行法より証拠開示が後退する政府案をそのまま通すことなく、冤罪被害者を救済する再審法見直しにすべく、十分な審議を求める。 (沢)
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2026.06.10
日本新聞
政府の原発建て替え計画に抗議する
4677号1面
政府の原発建て替え計画に抗議する
経済産業省が廃炉を決めた原発の建て替え数値目標を発表。原発推進、原発頼みに前のめりの危険な方針。原発のない安全な社会実現へ
6月5日、経済産業省は廃炉を決めた原発を建て替える目標を数値を出して発表した。それによると、2040年代までに2~5基、2050年代までに11~14基を建て替えるという。現在、世界的に見ると、原発の建設コストは1基数兆円に高騰している。
2011年3月に東電福島第一原発が次々水素爆発するという過酷事故を起こした。放射性物質の拡散は世界的規模であり、世界に原発の危険性を知らしめた。日本でも事故直後は、原発依存度の低減方針を出していた。
ところが事故からわずか3年後の2014年4月、安倍政権は原発を「重要なベースロード電源」とした基本計画を閣議決定。2022年4月、岸田首相は「原発を最大限活用する」と表明した。そして今回の経産省による建て替え数値目標発表である。政府は2040年度の電源構成としては、原子力で20%をまかなうとしている。2024年度は9.4%だったという。そのための建て替えだというが、巨額の費用をかけて、計り知れないリスクを作り出すなど愚の骨頂である。
今回の発表に先立って、関西電力は昨年7月、美浜原発での次世代型原発への建て替え方針を発表した。市民団体「原発をなくす全国連絡会」は関西電力の原発新設方針に抗議し、撤回を求めている。「脱炭素を考えるなら再生可能エネルギーへの転換に、時間と費用を使うべきだ。福島第一原発事故から15年、今も被害は続いている。いまだに多くの人々が故郷へ戻れず、生業、コミュニティーも壊されたままであり、補償も十分に行われていない。被害から目を背け、事故の教訓を忘却し原発回帰は許されない。関西電力美浜原発での次世代型原発への建て替え方針に抗議し、撤回を求める。すべての原発の廃炉と再生可能エネルギーへの転換を求めて闘い続ける」という声明を出している。政府は市民の声に耳を傾けるべきである。
原発に頼らない社会をめざす「10の理由」
原子力資料情報室はなぜ脱原発なのか「10の理由」を明確に示している。
⑴放射能被害の危険性
チェルノブイリ原発事故、福島第一原発事故に見るように、事故が起きれば放射能が大量に放出される。放射能の寿命は長く、被害は長く続く
⑵放射性物質は増え続ける
通常、原発を動かしている限り、放射能のゴミが大量に発生し続ける。10万年以上隔離の必要があるものもあり、「負の遺産」が増え続ける
⑶核拡散の危険性
プルトニウムや高濃縮ウラン生成は、核兵器製造につながる
⑷労働者の被ばくを伴う
原発の中では多くの労働者が被ばく労働を強いられている。被ばく全体の95%以上が電力会社の社員ではない下請け労働者。また、ウラン鉱山や使用済み燃料の再処理工場でも労働者は被ばくしている
⑸関連施設での危険
原発では核燃サイクルの関連施設が数多く必要。これらの施設も事故の危険性を抱えている
⑹地域の自立や平和を損なう
原発立地自治体では電源三法交付金などで財政が一時的に潤う。地域の自立が妨げられ、地域住民の間に対立が持ち込まれる
⑺情報の隠ぺいやねつ造が起きる
閉鎖的な「原子力ムラ」が形成され、研究費や人事第一になりかねない
⑻原発は無駄が多い
原発は発電時のロスが多く、発生した熱の65%以上が温排水として海に捨てられる。出力調整用の発電所が必要になり、火力、水力などの発電所が余分につくられる。無駄が多い
⑼温暖化を進める
原発を増やせば他の発電所も増え、むしろ温暖化を進める
⑽大停電を起こしやすい
大地震が起きると一斉に原発が止まる。いったん停止すると再稼働までに長い時間がかかり、大停電になりかねない
福島第一原発の廃炉作業も進まない中、原発への回帰はあってはならないことである。原発建て替えではなく、原発からの撤退を求める。 (沢)
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2026.05.13
日本新聞
憲法大集会、改憲・戦争反対の5万人の声響く
4673号1面
憲法大集会、改憲・戦争反対の5万人の声響く
5月3日、有明防災公園に5万人結集。戦争への道ひた走る高市政権への危機感高まる。改憲・軍事大国化へ歯止めかける運動の前進を
憲法記念日の5月3日、有明防災公園で憲法大集会が開催された。高市政権の、戦争へ前のめりの政策への危機感の表れである。平和憲法を闇に葬ろうとする改憲の動きも加速させている。結集した5万人の市民の、“平和憲法9条を守り決して戦争を繰り返さない”という強い思いに貫かれた憲法大集会となった。
主催者を代表して憲法共同センター共同代表の秋山正臣さんは「この集会に先行して行ったクラウドファンディングで1158万円のご寄付が寄せられた。憲法を生かし、平和、命、暮し、人権を守っていこうではありませんか。国会では改憲派が多数を占める状況だ。過去にも改憲がねらわれたが、改憲を許さなかったのは市民運動があったからこそだ。
今年は憲法が施行されてから79年となる。“改憲許さない”の声を草の根から、地域から、職場からあげていこう。それが戦争をさせないことにつながる」と呼びかけた。
人権・排外主義問題に取り組んでいる一般社団法人Colabo代表の仁藤夢乃さんは力強く訴えた。
「虐待や性搾取の中にいる少女を支える活動をしている。戦争が起こる時、女性たちを癒しとして性奴隷にした。今でも性売買は個人の責任として扱われている。売る側だけが責められる。なぜ戦争で性暴力が起きるのか。女性が尊厳のある一人として扱われない社会がつくられるからだ。戦争によって突然作られるのではない。今も行き場を失った少女たちに声をかけるのは、性搾取を目的とした人や業者だ。
私たちは15年間、それに抗う活動を続けてきた。そのため、殺害予告やレイプ予告など、あらゆる妨害を受け続けている。私達が攻撃を受けた時、それが差別だと気づくことができた人はわずかです。そのことが排外主義を掲げる人たちに力を与えた。女性への攻撃を強めた議員が今、外国人差別を扇動している。
Colaboが攻撃を受けた時学んだのは、拠点が借り物であるといつでも潰しに来られるということだった。そこで女性人権センター建設プロジェクトを立ち上げた。日本一性搾取が深刻な街・新宿歌舞伎町に差別に抗う拠点をつくる。
これからもつながり、私たちがいることを示し続けよう」
戦争演習が行われている沖縄の島々
「沖縄の風」参議院議員の伊波洋一さんは戦争の危機にさらされている沖縄の現状を語った。
「沖縄ではこの10年で島々に陸自ミサイル基地が造られ、毎年何回も戦争演習が行われてきた。今年1月29日、4回目の、宮古島、多良間、石垣、竹富町、与那国の沖縄先島5市町村の令和7年度沖縄県国民保護共同図上訓練が行われた。自宅や施設、病院などから介助や輸送が必要な要配慮者(5市町村1万1778人)をそれぞれの島の空港や港から、那覇を介して各県の空港や港を経て避難先に避難させる図上訓練だ。なぜ、全住民が縦横高さ計100センチのバッグ一つで避難しなければならないのか。日米外務防衛閣僚会議で、台湾有事日米共同作戦計画の作成に合意し、奄美群島と宮古島以西の先島5市町村を日米の攻撃拠点として造り直すことを決定したからだ。住民がいるところに攻撃拠点を造るのは国際法違反だから、全住民を避難させようとしている。沖縄の現状から、全国で真剣に考えていこう」
リレートークで、原発事故被害者団体連絡会共同代表の武藤類子さんは、世界で起きている戦争の現状からも日本中の原発を止めなければならないと訴えた。最後に私たちは何ができるかと呼びかけ、「破壊ではなく育てること、犠牲ではなく思いやりを持つこと、嘘ではなく誠実に生きること、理不尽ではなく共感できること、強く速く大きなものだけを追い求めるのではなく、小さくて弱い者たちに学ぶ。そんな価値観をコツコツと広めていくことが大切。戦争への道を止め、核兵器や原発をなくすために力を合わせていこう」と訴えた。
最後に海渡双葉弁護士からスパイ防止法について話された。
「自民と維新の連立政権合意書にもスパイ防止法は登場する。来年の国会に提出されると言われている。アメリカでは第一次世界大戦中に“徴兵制反対”と宣伝したことがスパイ防止法で有罪になった。憲法守れ、戦争反対と言うとスパイだと言われる時が来てしまうかもしれない。外国代理人登録法では、海外の個人や団体と連携することで外国代理人とされ、報告義務を課す。
スパイ防止法は明らかに戦争準備の法律。スパイ防止法反対を共にやっていこう」と呼びかけた。
強風をものともせず、参加者は「改憲反対!」「戦争反対!」を訴えた。 (沢)
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2026.05.06
日本新聞
朝鮮学校にも高校無償化を適用せよ
4672号1面
朝鮮学校にも高校無償化を適用せよ
2010年の高校授業料無償化実施から16年目。いまだに無償化から排除され続ける朝鮮学校。政府は朝鮮学校生の声に応え差別政策やめよ
高校授業料無償化は2010年民主党政権のもとで実施された。しかし、政治問題を理由に朝鮮学校への適用は不当にも凍結された。2013年第二次安倍政権時に対象から除外が決定された。全国で朝鮮学校への無償化適用を求める裁判が行われたが、ことごとく敗訴という不当判決が下された。朝鮮学校の生徒や保護者は毎週金曜日、文科省前で無償化適用を求めて「金曜行動」を行い続けてきた。
今国会で「改正高校無償化制度」が成立した。これは高校無償化拡充と外国人学校無償化の廃止及び別途支援策を盛り込んだもので、外国人学校生徒への別途支援策も不安定なものとなってしまった。朝鮮学校については、別途支援策からも除外という、全くひどい決定である。このような改悪に対して、4月23日、「全国朝鮮学園連絡会」「全国朝鮮学校保護者会連絡会」「朝鮮学園を支援する全国ネットワーク」「日本と朝鮮を結ぶ全国ネットワーク」「朝鮮学校への公的助成を求める国会議員有志の会」の主催で、抗議行動、院内集会、記者会見が行われた。
差別のない当たり前の政治に
参議院議員会館前での抗議行動では、朝鮮高校生、大学生から次々怒りの声が上げられた。
「私達は15年間各地で、高校無償化から朝鮮学校だけを排除する日本政府に対して、反対運動を行ってきました。なぜ朝鮮学校を除外し続けたのか。この問いに対する答えの代わりに日本政府は、この4月から外国人学校に通う高校生全員を無償化から除外した。朝鮮学校だけじゃないよ、と言わんばかりに。
日本政府は高校無償化新制度を改め、朝鮮学校に学ぶ権利を保障しろ!全ての外国人学校に高校無償化制度を適用せよ!」
「私は朝鮮舞踊部に所属しています。朝鮮学校の部活の中でも、特に民族性があふれる素晴らしい部活が朝鮮舞踊部です。“衣装、すごくきれいだね”“素晴らしかったよ”と言われて、自分の民族性を認められたようでうれしかった。自分の民族に誇りを持って、堂々と生きることは、悪いことなのでしょうか。次の世代、また次の世代の子ども達が笑顔で朝鮮民族の誇りを持って羽ばたいていけるようにしたい」
「あなたたちは見えているのか。お金もない中で、財政的補助も受けられず、高い授業料を払い、アイデンティティーを守り抜くために、子ども達を朝鮮学校に通わせる保護者達の姿が。人間の尊厳の問題だ。すべての在日外国人学校への差別を撤廃せよ!」
院内集会で元文科相事務次官の前川喜平さんは、基調発言で、「今回、外国人学校をすべて無償化から排除したが、他の学校は予算上、措置する。結局、朝鮮学校だけ除外。子どもの権利条約、国際教育条約にも反する。過去の侵略の歴史、人権の過去を学ぶのが大事。負の歴史に向き合い、政治を変えていきたい」と語った。
神奈川高級学校3年男子生徒の「両親は必死に働き、税金も払っている。朝鮮学校の授業料は高くなっているが、それでも朝鮮学校に通わせてくれている。無償化適用で少しでも楽をさせたい」という発言が響いた。
東京朝鮮中高級学校高級部3年女子生徒の「学校の外で朝鮮語を話していた時、後ろ指を指されたり、“チョンしかいない”と舌打ちされたり、命の危機さえ感じた。朝鮮学校は朝鮮人として誇りを持って生きることを教えてくれた。差別のない未来を作るまであきらめない」という言葉は重い。差別の問題と向き合うことなしに、私達も人間になれないと痛感した。
政府は朝鮮学校への差別政策をやめよ。 (沢)