日本新聞
えん罪・再審法の改正求める署名開始!
4662号1面記事
えん罪・再審法の改正求める署名開始!
「大署名運動キックオフ市民集会」開催。証拠全面開示、検察官の不服申し立て禁止を明示した議員連盟案の国会早期提出・成立に全力を
2月12日に法務相に答申された法制審の再審法見直し答申は、冤罪被害者を救済する再審法の趣旨と全く反する改悪そのものとなった。
法務省がこの改悪案を国会に提出して成立させる前に、何としても超党派議員の「えん罪被害者のための再審法改正を早期に実現する議員連盟」(以後、議員連盟)の案を復活させ、国会に提出してもらわなければならない。その世論を作り上げようと、2月20日、署名活動を提起する「大署名運動キックオフ市民集会」が開催された。
世話人代表の鎌田慧さんは「若い頃、日本は良くなる、民主主義が浸透して自由に幸せになっていくと考えていた。今は若い人の希望がなえてしまう社会状況だ。再審法については、狭山事件の石川さんは、再審請求を3回やっても結局一度も通らず、証拠調べもろくにやらない。誤っても謝らないのが権力なのか。今日は92歳の袴田ひで子さんが静岡から駆けつけている。皆さん、これから署名運動を始めます。よろしくお願いします」と呼びかけた。
再審法をめぐる現状
日弁連再審法改正推進議長の鴨志田祐美弁護士から、再審法を巡る状況が詳しく報告された。
——法務省の刑事局は幹部がみな検察官、それが事務局。その人達が考えた案を国会に提出する。衆院の突然の解散で、国会で継続審議中だった議員連盟の再審法改正案は廃案になってしまった。
大変な状況だが、この再審法改正に対して、朝日新聞や東京新聞だけでなく、産経新聞や日経新聞まで社説で、法務省の答申を批判している。このままでいいとは思っていない。その世論を盛り上げるのが大事だ。
そして議員連盟の案を法制審案の提出より前に、3月中には再提出してもらわなければならない—
鴨志田さんは法制審答申の問題点、議員連盟案の正当性について指摘した。
《証拠開示》
議員連盟案…再審請求人が求めた証拠を裁判所は検察官に開示させる
法制審案…裁判所は必要だと思った時に、検察官に証拠を出せと命じる。それを再審請求人は見れない。また、開示されても支援者に見せたらダメ、マスコミに提供したらダメとなり、罰則まである。静岡一家4人殺害事件で再審無罪を勝ち取った「5点の衣類」のカラー写真も見れなくなる
《再審開始決定に対する不服申し立て》
議員連盟案…検察官抗告の全面禁止
法制審案…改正なし
以上を見ても、法制審答申は、えん罪を生み出さないためのものではなく、更にえん罪を生み出す改悪そのものである。検察官の抗告を全面禁止する議員連盟案を復活させ、再審法改正を勝ち取らなければならない。
冤罪被害者の訴え
静岡一家4人殺害事件の被害者の袴田巖さんを支えてきた姉のひで子さんは「弟は殺人死刑囚として47年7か月拘置所に収監された。真実を求めて58年闘い、無罪を勝ち取った。冤罪で苦しんでいる人はたくさんいる。巖だけ助かればいいとは思っていない。議員立法に期待している」と訴えた。
女子中学生殺人事件のえん罪被害者の前川彰司さんは「検察の不服申し立てで、一度開いた再審の扉が閉じてしまう。たくさんの方の支援で無罪を勝ち取れた。この福井事件について警察幹部が“こんなことはあり得ない。恥ずかしい”と言っている。再審法改正の気運、流れを作って、再審法改正につなげたい」と語った。
狭山差別裁判を石川一雄さんと闘い続けてきた石川早智子さんは「会場に満杯に駆けつけてくれて嬉しい、元気をもらった。夫・石川一雄は狭山事件の犯人とされ、62年無実を訴え続けてきた。昨年3月11日、帰らぬ人となった。47年以上も裁判のやり直しを求め、3回目の再審請求中だった。3回目の再審請求から亡くなるまで19年、その間裁判官は10人も変わった。関連性のある証拠だけ開示するというが、証拠に関連性があるかどうかは検察官が決めることではない。弁護団や裁判官、そして本人が決めること。昨年4月4日、妻の私が第4次再審請求した。私は79歳、何としても無罪を勝ち取り、夫に笑顔で報告したい。一日も早く、議員立法による再審法改正を実現してほしい」と、石川さん亡き後の悲しみを乗り越えて、思いを語ってくれた。
署名運動で世論を盛り上げ、再審法改正を勝ち取ろう
たくさんの呼びかけ人から、再審法改正を成し遂げよう、そのためには署名運動で改正の世論をつくりあげようと、話された。
その一人である講談師の神田香織さんは「高市さんは福島の事故の後に“事故で亡くなった人は一人もいない”と平然と言った。私も福島出身者として怒りがおさまらない。今回のメチャクチャな選挙でさらに怒りがヒートアップしている。今から16年前に鎌田さんから電話がかかってきて、“石川一雄さんの講談をやってくれないか”と。二つ返事でオーケーした。講談師、見てきたような嘘を言う、と言うが、講談師のつく嘘は人を幸せにする。政治家のつく嘘は人を不幸にする。幸せになってもらう講談をどんどん語っていきたい」と希望を与えるお話をしてくれた。
えん罪被害者を救済する議員連盟案の成立をめざし、署名運動を全国で展開していこう。作られた世論ではなく、運動することで、えん罪被害者を救済する世論を築きあげよう。 (沢)