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2025.11.12
日本新聞
高市首相の労働時間規制緩和方針に抗議
4647号1面
高市首相の労働時間規制緩和方針に抗議
労働時間規制のない裁量労働制の適用拡大も検討。「柔軟な働き方で
ないと国際競争力が低下」との企業側の主張重視。働く者を守るべき
高市首相は上野厚生労働相に「労働時間規制の緩和の検討」を指示した。1月から厚生労働省の審議会の分科会では、労働基準法などの見直しを検討している。しかし、この見直しが労働者の立場に立ったものなのかどうかは、はなはだ疑問である。高市首相の「労働時間規制緩和」発言からは、働く者のことを考えてのものとは思われない。もともと、この規制緩和は企業側からの「柔軟に働ける環境を整備しないと、国際競争力が低下する」という要請に応えたものだ。
すでに労働時間規制の対象から外されているものとして、裁量労働制、高度プロフェッショナル制度がある。裁量労働制は、仕事の進め方や時間配分を労働者の「裁量」にゆだねる働き方である。早く終わったらそれで終了できると言われているが、逆に終わらなければ延々と働かなければならない。高市政権は裁量労働制の拡大も検討している。
過労死遺族が労働時間規制緩和に抗議
高市首相の「労働時間規制の緩和検討」指示に対して、過労死遺族らが懸念を表明している。
2015年に電通の新入社員だった高橋まつりさん(当時24歳)が過労自殺した。母親の高橋幸美さんは「犠牲者は娘で終わりにして」と訴え続けている。今回の労働時間規制緩和についても「過労死ラインまで働かせるのはやめてください。上限規制を緩める政策は絶対にしないでほしい。大切な家族が馬車馬のごとく働かされて過労死した。命が奪われる働き方に傾いていくことが心配でなりません」と訴えている。
高市首相は「心身の健康維持と従業員の選択を前提にした労働時間規制の緩和の検討」だとしている。しかし、今の規制は過労死ライン水準である。それを緩和してもっと働かせるというのだから、首相の言う「心身の健康維持」などできない。緩和されたら、「従業員の選択」など絵に描いた餅にすぎない。「法的にも問題はない」と、会社に労働時間拡大を強いられるのは明らかである。
「残業代が減ることによって、生活費を稼ぐために無理をして副業することで、健康を損ねてしまう方が出ることを心配している」これが高市首相の労働時間緩和の理由だという。よくもこのような思ってもいないことを言えるものだ。
本当に労働者の健康を心配しているなら、労働時間を増やすのではなく、給料を増やすことを考えるべきだ。労働時間を増やせという企業の要請を取り上げるのではなく、企業に内部留保金をため込まずに賃金を上げるようにさせるべきだ。
安倍元首相は「企業が儲ければ労働者にそのしずくがしたたり落ちる」と言った。高市首相も同じことを言っている。実際は、大企業はいくら儲けても賃金を上げようとはしない。ため込んだ内部留保金は2024年末時点で637兆円を超えている。13年連続で過去最高を更新し続けている。その一方で働く者の給与は30年間上がっていないという異常事態である。歴代政府は法人税の減税で更に企業を優遇してきた。裏金問題もここから起きている。高市政権は裏金問題をそのままにして、裏金議員を温存している。
軍事費はGDP比2%達成を2年間前倒しし、その財源は問わない。一方で、社会保障の充実を訴えると財源はどうすると言う。軍備拡大をやめれば財源は十分ある。なぜ野党はそこを突かないのか。
働く者が健康に安心して働ける環境づくりこそが、政治の成すべきことである。(沢)
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2025.11.05
日本新聞
小中学生の不登校、自殺が過去最多
4646号1面記事
小中学生の不登校、自殺が過去最多
不登校最多の原因を保護者に押し付け、学校の問題に目を向けない文科省。いじめも自殺も過去最多、友情や連帯の心を育てぬ教育現場
文科省の調査によると、2024年度の小中学校で年間30日以上欠席した不登校の児童生徒は35万3970人で、過去最多、12年連続増だった。小学生は5.6%増の13万7704人、44人に1人が不登校だ。中学生は0.1%増の21万6266人、15人に1人が不登校だ。年間30日に満たない不登校予備軍がどれくらいいるのかは発表されていない。学校に行かない子どもは年々増えているのである。
ところが文科省は、不登校が増えている原因を「無理に通学する必要はないといった保護者らの意識変化だ」と発表している。これでは不登校を減らすメドはない。
音楽が鳴ると踊り出す、小学校入学間近の元気な女の子がいた。お母さんは「この子のいいところを受け入れて伸ばしてくれるならいいけど、押しつぶされると学校に行かなくなる」と心配していた。1年後、「あまり学校に行ってない」とお母さんは残念そうに話していた。小学2年生の不登校の男の子のお母さんは「こんなに学校に行かない子が増えているんだから、学校は何が悪いのか考えるべき」と憤っていた。
子ども達は最初から学校に行くことを拒否していたわけではない。一人一人の子どもが、なぜ学校に来なくなったのか、学校側は掘り下げて考えなくてはならない。「親が学校に行くように勧めないから」では、解決することを放棄している。子ども達がどんな問題を抱えているのか、真剣に向き合うことである。
いじめも自殺も過去最多
学校に差別はないのか、いじめられている実際はないのか。2024年度の小中高校のいじめも過去最多で76万9000件と発表された。これは学校から報告された数であり、実際ははるかに多いいじめがあることは推して知るべしである。
いじめる側になるか、いじめられる側になるかが死活問題となり、いじめられている人を助けたり、いじめている人に注意することもできない状況に追い込まれている。差別があふれる中で、心がすさんでしまっている。自分たちがいじめた相手が自殺したことを知った中学生が、「やっと死んだか」とSNSに投稿していたという報道もあった。背筋が凍りつく思いだ。若者らしいヒューマンや正義を愛する心が根こそぎ無くされてしまっていることが無念である。
いじめと共に、2024年度の小中高生の自殺も過去最多である。529人の自殺者である。子どもの自殺だけが増え続けている。特に女子高校生の自殺が増えている。ネットによる様々な情報によって、若い女性が性被害にあうケースも多い。被害にあった生徒に寄り添って話を聞ける大人がいるかどうかは、実に大きな違いである。命を救うことにつながるのである。
子ども達がどんな悩みを抱えているか、どんな悲しみを抱いているか、聞いてあげるべき教師は、管理・統制、過酷な労働の中に置かれている。教師自身も病んでいる実態がある。何らかの精神疾患で通院したり、休職に追い込まれている教師も多い。
今の教育現場の体制を抜本的に変え、教師が子どもと心を通わせられるように改革しなければならない。単に不登校の数字を調べるのではなく、子ども達が来たいと思う学校への改革である。教師と子どものコミュニケーション、子どもと子どものコミュニケーションのある環境を作ることである。共にやり遂げるものがあり、心の通い合いのある学校、差別を許さない教育現場に変えていく以外に、子ども達の居場所にならない。教育の荒廃は社会の崩壊につながる大きな問題であり、早急に取り組まなければならない。
子ども達の命を守るために。 (沢)
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2025.10.29
日本新聞
所信表明演説 軍備拡大打ち出す高市政権
4645号1面記事
所信表明演 説
軍備拡大打ち出す高市政権
日米同盟強化のため軍事費GDP比2%達成を今年度中に前倒し。原発推進、先端技術の農業で農家切り捨て。反戦、命を守る運動を
自民党と維新の会の連立政権・高市政権が発足した。
公明党が連立から離脱し、その自民にすり寄ったのが維新の会。国民民主党は「維新が連立組むなら教えてほしかった」と恨み節。「手取りを増やす」と聞こえのいい言葉で票を集めた国民民主だが、生活困窮の悪政を続けてきた自民と大差はないということだ。
衆参両院で自民を過半数割れに追い込んだのに、右寄り政党が多く、野党政権を作ることができない。
維新は「企業団体献金の廃止」を訴えていたが、自民と連立を組むや、それを引っ込めた。高市政権は、裏金議員を副大臣4人、政務官3人と、7人も起用している。
また、衆院議員定数の1割削減で自民と合意。これは比例定数の削減で、小政党が入れる可能性のある比例区を減らし、小政党をますます締め出すというものだ。更に、消費税削減も引っ込めた。
高市首相の所信表明演説に、自民と維新の連立政権が日本をどのような国にしようとしているのか、見て取れる。
軍事費増で命は守れない
10月24日、高市首相による所信表明演説が行われた。
はじめに、高市首相は「政権の基本方針と矛盾しない限り、各党からの政策提案を受け、議論する」と言っている。ここに大きな問題をはらむ。「政権の基本方針と矛盾しない限り」、では高市政権の方針に反対の意見には話し合いにも応じないということなのか。それでは民主主義の根幹を否定することである。
赤字に苦しむ医療機関、介護施設への対応、中小企業・小規模事業者、農林水産業を支援する推奨メニューを設けるなど、「いのちを守る」と列挙しているが、具体的に生きられる「メニュー」を早急に実行してほしいものだ。
しかし、農業については、「5年間の『農業構造転換集中対策機関』で世界トップレベルの植物工場、陸上養殖、衛星情報、AI分析、センサーなどの先端技術活用で輸出促進、稼げる農林水産業を創り出す」と言っている。企業が参入して儲ける農業をやるということだ。今、必要なのは日本の風土に合った農業のノウハウを知っている農家を守り、若者が希望をもって担える農業にしていくことだ。輸出で儲ける農業ではない。
「中国、北朝鮮、ロシアの軍事動向が深刻な懸念となっている」と言い、イスラエルのガザ大量虐殺については一言もない。イスラエルを支援しているアメリカにしたのだろうが、正義のかけらもない。
最も問題なのは、「防衛力の抜本的強化」として、軍事費のGDP比2%水準(2027年度までに達成)を補正予算と合わせて、今年度中に前倒しするというのである。そして来年中に「安保3文書」を改定して、軍事費を更に増やそうというのだ。
28日にトランプ大統領が来日する前に、何としても宣言しておきたかったのだろう。
原発推進、フュージョンエネルギーとしての核エネルギーにも力点を置いている。東電福島第一原発事故を全く教訓にしない非常に危険な政策だ。「外国人をき然と取り締まる」という排外主義も危険だ。
地方を守るための「地域未来戦略」の中味は、TSMC(台湾の半導体大手)やラピダス(日本の半導体大手)の熊本や北海道進出などのように、地方に産業クラスターを作るというもの。地方に産業をつくるには、地方の第一次産業を復活させ、それに伴う業種を増やすことが、生き生きした地域づくりになる。
軍備増強ではなく平和外交でアジアの国々と友好・連帯を。ますます右寄りで戦争へと向かう高市政権への監視を強め、反戦平和の運動を前進させよう。 (沢)
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2025.10.22
日本新聞
食料自給率38%では命を守れない
4644号1面記事
食料自給率38%では命を守れない
政府は自給率を上げ、安全な食を保障しなければならない。農薬まみれの作物、添加物満載の食品輸入に依存している現状から脱却を
2024年度の食料自給率は38%と発表されている。たったの38%である。世界各国の食料自給率は、
オーストラリア 247%
カナダ 177%
フランス 118%
アメリカ 101%
ドイツ 79%
となっている。日本の38%は余りにも低く、大問題である。
日本の食料自給率が低い理由を政府は「コメと野菜が中心の食生活から、パンと肉が中心の食生活に変わったから」と説明している。日本人の食生活がまるで自然に変わったかのように言っているが、それは全く違う。
戦争に負けて、日本はアメリカの余った小麦、大豆、トウモロコシの市場にされた。自然に米飯からパン食になったのではなく、アメリカの小麦を大量に輸入させられたからである。食で支配され、食生活を変えさせられたのである。アメリカから大量の小麦や大豆、牛乳や肉を大量に輸入させるためである。
そのために学校給食が使われた。次代を担う子ども達の食を米飯からパンに変えたのだ。
自給率38%では、もし輸入相手国(小麦ならアメリカ、カナダ、オーストラリア)が何らかの理由で(災害など)、日本向けの輸出ができないとなったらどうなるか。私たちはたちまち食べるものがなく、餓死の危険に直面するのだ。
政府は何十年も前から“食料自給率を45%にする”と目標に掲げながら、何の具体策もなく、輸入を続けている。それどころか、関税交渉では、アメリカの言うがままに、アメリカからの米の輸入拡大、農産物の輸入拡大を約束させられている。
農家を守ることが国を守ること
今、世界的にも日本食が見直されている。小麦より米の方が体にいいと言われている。パンもケーキも米で作れる。子ども達のおやつだって米で作れるし、食料油、畜産の飼料だって米に代えられる。海外への援助だって米でできる。1年分くらいの備蓄米を持つことも必要だ。
こう考えると、米が余るということはない。
日本の農家が米を作り続けられるように保障する、これが一番の国を守ることである。ところがありもしない「過保護農政」が宣伝され、食管制度(国が米や麦などの主要穀物を農家から買い取り、消費者に安く売る)も廃止されてしまった。それ以来、日本の農家は国からの補助もない中、食料を供給するのが責務だと頑張り続けてきたのだ。
60キロの米を作るのに1万5000円の経費がかかる。しかし近年では米価は1万円を切ったことさえある。昨年から米価が上がったとはいえ、30年前に戻ったに過ぎない。農家に生産費に見合った米価はもちろん、生きていける米価を国が保障しなければならない。そうすれば買う側も、米が高くて買えないという状況は解消できる。国が具体策を講じなければ、農家は廃業し、農村もなくなってしまう。
外国からの農薬たっぷりの野菜や果物が安全な食と言えるか。政府は残留農薬(栽培過程で使用した農薬が収穫後も残っている濃度)基準を緩和している。世界の動きと逆行している。アメリカ国内ではオーガニックが広まり、遺伝子組換えや農薬を使って栽培したものは売れないので、基準の緩い日本向けの農産物を作っている。
残留農薬基準緩和に加えて、日本では「無農薬」表示は禁止され、「遺伝子組換えでない」表示は「分別生産主流管理済み」に変えられ、全く意味が分からなくされている。
農薬を使わないで安全安心な食品を届けようとしている農家の努力も、安全なものを選びたいという消費者の意思をも踏みにじる政策である。
食を守ってこそ、他国に支配されない独立国と言える。 (沢)