-
2026.08.12
日本新聞
アジアの国々との友好・連帯に踏み出そう
4686号1面
アジアの国々との友好・連帯に踏み出そう
日本の侵略戦争、アメリカによる原爆投下から81年。日本の軍備増
強、軍国主義回帰に世界の警戒高まる。戦争ではなく平和外交の道へ
まもなく、日本が敗戦した8月15日がやってくる。81年前のこの日、日本は敗戦を宣言した。日本の戦死者310万人のうち、最後の1年で200万人以上が犠牲となったという。学徒出陣は約10万人と言われている。
もっと早くに敗戦を認めていれば、学徒出陣も沖縄戦も東京大空襲も広島・長崎への原爆投下も避けられた。多くの犠牲を防ぐことができたのだ。しかし、天皇の命令によって戦争は続けられ、尊い命が散らさせられた。実に無念なことである。
すべてを破壊する原爆を日本に投下したアメリカ
1945年8月6日、広島に新型爆弾が投下された。そして9日、長崎に。2種類の原爆を人類史上初めて日本に投下したアメリカ。広島ではその年のうちに14万人以上が、長崎では7万人以上が亡くなった。その後も死者は絶えず、原爆症の苦しみは続いた。今年も犠牲者を悼んで慰霊が行われた。81年経っても、悲しみは消えることはない。
アメリカはたくさんの医学者を日本に派遣したが、それは被爆した人々の治療のためではなく、原爆が人類に与える惨状を記録するためだった。日本は実験台にされたのである。そしてアメリカでは“原爆が戦争を終わらせた。兵士の命を救った”と英雄視され、原爆のきのこ雲グッズが販売されている。
これは日本の侵略戦争についても同じである。侵略戦争で、日本軍はありとあらゆる残虐行為を行った。ところが“日本軍はアジアの国々を解放した”“アジアの国の人々に歓迎された”と宣伝している。全く黒を白と言いくるめるものである。虐殺、暴行、強制連行、強制労働、慰安婦等々、筆舌に尽くしがたいほどの日本軍の蛮行で命を奪われたアジアの人々、ヨーロッパの捕虜など犠牲者は多い。
被害の事実だけではなく加害の事実をしっかり認識し、アジアの国々に謝罪し、補償しなければならない。そこからでなければ、アジアの友好は築けない。
ところが謝罪どころか、加害の歴史を否定し、再び軍備増強に向かっているのが日本の現状である。
有事を作り出すのではなくアジアとの連帯を築くべき
昨年11月の高市首相の「台湾有事は日本の存立危機事態になり得る」という発言に対して、中国は強く非難した。台湾は中国の一部であり、日中共同声明で日本はそれを認めている。だから、台湾は中国であり、日本とは何のかかわりもないのである。高市首相の発言は、あたかも台湾を日本の植民地視しており、実に問題発言である。
「台湾有事」はアメリカが宣伝しているものであり、中国に対して日本や韓国が戦うように仕向けるアメリカの戦略である。その口車に乗って日本は、軍事費を増額し、南西諸島にミサイル基地を造り、砲台を中国に向けている。そして南西諸島の人々を九州などに疎開させる計画も出している。
中国は日本が挑発しない限り、攻撃してくることはない。戦後、世界の国々に戦争を仕掛けているのはアメリカであり、中国ではない。
日本は経済的にも軍事的にも中国の足元にも及ばない。GDP(国内総生産)は、中国は日本の約5倍に達している。軍事面でも、中国の国防費は日本の4倍以上である。約200万人の現役兵力をもつ中国に対して、自衛隊は約22万人である。中国の食料備蓄は1.5年分、日本の米の備蓄は1.5か月分に過ぎない。
現実を直視し、日本は戦争ではなく、平和への道をアジアの国々と歩むことが唯一の活路である。戦後81年、不戦、戦力不保持を誓った憲法9条を守り抜き、平和への大きな一歩を踏み出そう。
(沢)
-
2026.08.05
日本新聞
政府、原発建て替え数値目標決定の無謀
4685号1面
政府、原発建て替え数値目標決定の無謀
いまだに収束していない福島第一原発事故。今も高線量が続く被ばく地域。人が戻らない地を巨大産業拠点にし「復興」を世界にアピール
7月31日、政府の原子力関係閣僚会議は原発建て替えの数値目標を発表した。2040年代までに最大5基、2050年代までに最大14基をめざすと正式に決定したというのである。
2011年の東電福島第一原発事故は世界を震撼(しんかん)させた。“原発をゼロに”が国際世論となった。日本も当初はエネルギー基本計画で、“限りなく原発によるエネルギーをゼロに”と言っていたが、今では“原発を最大限に活用”と180度方針を変えている。
一体何が変わったのか。原発が安全だと証明されたのか。
原発は事故を起こしたらもちろん危険だが、通常運転でも大気中に海に放射性物質を放出している。原発周辺住民の被ばくも明らかにされているし、イギリスやフランスの再処理工場付近の子どもの甲状腺がん多発など、被ばくによる健康被害が報告されている。
ところが日本はこの期に及んで、新たに原発を建てると発表したのである。実に危険である。
福島の実際
7月30日、福島を訪れた。福島県南相馬市にある、3.11&福島原発事故伝承アートミュージアム「おれたちの伝承館」を訪ねるためだ。
ガイガーカウンターで放射線量を測りながら行った。毎時0.23μSv(マイクロシーベルト)を超えると除染が必要な地域である。富岡町役場付近は0.05μSv、しかし車が山の中に入ると0.37μSvにまで上がった。大熊町でもどんどん上がり、0.49、0.72、1.249、1.459と上がっていった。このあたりで除草作業が行われていたのにも驚いたが、作業員がマスクもしていなかったのには閉口した。危険が全く知らされていないのだ。ガイガーカウンターは最高で1.7μSvを示した。除染が済んだとされている双葉町で0.21μSv、浪江町で0.115μSvであった。
このような中で、福島県立の伝承館では、モニターに移された大学教授が「福島県の子どもたちの小児甲状腺がんと、原発事故との因果関係は全くありません!」と断言している。実に犯罪的だ。「おれたちの伝承館」はこの嘘を通してはならないと、原発事故の真実を伝えるために作られたものである。
被災者が置いてきた牛がかじった柱があった。食べるものもなく柱をかじって餓死したのだ。原発事故がなければこんな悲惨なことは起きなかった。そこに一枚の色紙があった。
“人間が 牛の世話したんでねえ
人間が 牛の世話になったんだ”
福島で牛と共に生きた人の無念が伝わってくる。
集中的に除染した地域を一歩離れて山に近づくと、今でも高線量の実際がある福島。そこに若い家族を住ませるために、数々の支援策を講じている。大熊町も双葉町も帰ってくる住民は少ない。そこで、原発事故のことやその後の状況を何も知らない若い世代を誘致しているのである。だましのやり方だ。毎時0.1μSvや0.2μSvで安全という保障は全くない。小さな子どもたちがそこで暮らして、健康被害を受けない保証はない。
福島県浜通りで進められているイノベーションコースト構想は巨大な国家プロジェクトで、実に広大な土地を占めている。福島の人が戻ってこない、その土地を逆に利用して世界的な産業基盤を造る、実に巧みだ。
廃炉の技術開発、ロボット・ドローン産業、水素などのエネルギー・リサイクル技術、IT・ロボット活用の農林水産業等々、結局は大企業が進出し儲けるものだ。
最優先課題は被災者の生活支援であり、故郷を奪う原発からの撤退である。決して新たな原発を造ることではない。 (沢)