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2025.08.20
日本新聞
武力でなく農業再生が日本の活路
4635号1面記事
武力でなく農業再生が日本の活路
「食料自給できない国は奴隷」これがアメリカに奴隷外交の日本の本質。農業を守らずに国は守れない。政府は警鐘を受け止め農政改革を
小泉進次郎農相が韓国の米農家を訪れ、米作りの実情を視察したという。韓国の米農家から話を聞くのもいいが、日本の米農家から話を聞くべきではないだろうか。
「令和の米騒動」と騒がれ、米の価格の急騰、スーパーの売り場から米が姿を消す。この事態に小泉農相は備蓄米を放出し、輸入を急いだ。急場を凌いだかのように宣伝されたが、実は何も解決していない。それどころか農家はますます窮地に追い込まれた。農家の実情もわからないのだから、日本の農家の窮状にこそ、耳を傾けるべきだ。米作りのノウハウは日本の農家は十分知っている。「令和の米騒動」の原因は、減反を強いられ、資材高騰などで悲鳴を上げている状況でも救済策も受けられない現状、つまり悪政こそが原因なのである。
郵政民営化の手口同様の農協解体
根本原因を隠して悪者にされたのは、米卸業界や農協である。コメ卸業者が儲けている、農協が米の流通を独占している、などという論だ。小泉農相は備蓄米を扱う業者を、農協ではなく特定の大手業者を優遇した。
実際は米卸業界の営業利益は非常に少ないのである。
小泉農相は、自民党の農林部会長時代、農協解体を提唱し、それが頓挫した。今また、農協を悪者にして解体しようとしている。
ねらいは、農林中央金庫の貯金100兆円と全共連の共済の55兆円の運用資金を外資に回すことである。そして、日本の農産物流通の要の全農をグローバル穀物商社に差し出すことだ。
かつて小泉純一郎首相が強行した郵政民営化とうり二つである。郵貯と簡保合わせて350兆円もの運用資金を、民営化で外資企業の手中にするというものだ。親子でアメリカなどの外資に巨額の資金を融通するというのだ。これは看過できないことである。
農家を守る抜本的な農業改革を
「令和の百姓一揆」代表の菅野芳秀さんは「1947年の農地改革によって475万人の自作農が誕生した。今は、70万人を切ろうとしている。約400万人が百姓をやめた。米農家の平均年齢は70歳を超えている。食糧生産が追い込まれている。有史以来の一大危機だ」と警鐘を鳴らしている。
キューバの著作家であり革命家でもあるホセ・マルティは、「食料を自給できない人たちは奴隷である」と語った。日本はまさにそうである。戦争直後、日本の食料自給率は88%だった。それがアメリカの余剰農産物を買わされ、現在の食料自給率はわずか38%である。アメリカの意のまま、関税問題しかり、軍備増強しかりである。
“日本の農家は過保護だ”という宣伝が行われている。これは全くのデマだ。日本の農家の所得に占める補助金の割合は3割、それさえ受けていない農家もいる。ところがフランスは90%以上、スイスは100%が補助金で保障されている。命を守り、環境を守り、地域コミュニティを守っているのが農家、その農家をみんなで支える、そういう考えのもとに行われている政策である。
日本はそこが実に弱い。「自給率を上げる必要はない。アメリカから輸入すればいい」という論がふりまかれた。輸入した方が商社が儲かるからだ。日本の農民はこうして踏みつけられてきた。農民の苦境は今、日本の危機として具現化されている。輸入に頼る食は安全性も安定性もない。農薬まみれ、遺伝子組換え、輸入先の政情不安、災害などでいつ輸入がストップするかわからない。
日本の農家の生活を補償し、日本の農業の再生を図る政策へと変えていかなくてはならない。それが日本を守る活路である。 (沢)
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2025.08.13
日本新聞
敗戦後80年、平和への道に踏み出そう
4634号1面記事
敗戦後80年、平和への道に踏み出そう
アメリカの戦略下で「台湾有事」を作り出そうと軍事基地化を進める政府。
軍備増強ではなく平和外交で世界の平和を築く日本への転換を
8月15日、日本は敗戦から80年を迎える。80年前、二度と戦争をしないという思いで、日本国憲法が作られた。人間らしい生活を保障しようと基本的人権の尊重、不戦、戦力不保持を明記した憲法9条。
日本はここから平和への道を歩むと思われたが、今日の日本の状況は全く違う。憲法は守るべきものではなく、掲げる看板に過ぎないものと化している。
「台湾有事」は作られたもの
戦力を持たないと憲法に明記されているが、自衛隊があり、軍備増強が行われている。専守防衛の原則が、解釈改憲で「敵基地攻撃能力」まで有することが閣議決定された。2015年の安保関連法案強行可決に至って、戦争法が制定されてしまった。
もともと「台湾有事」はアメリカが喧伝したものである。台湾は中国の一部であり、台湾の人々の8割以上が「独立」ではなく現状を望んでいる。それをアメリカがあたかも台湾の人々が独立を望んでいるのを中国政府が弾圧していると、大宣伝した。「台湾有事」が起こり、日本にも危険が及ぶという宣伝である。
中国はすでにGDPで実質アメリカを抜いている。だからアメリカは今のうちに中国を抑えつけておきたい、そのために日本と戦わせようとしているのである。日本はまんまとアメリカの戦略に乗り、日本の若者の命を奪う愚策を再び繰り返そうとしている。
南西諸島は次々ミサイル基地化されている。避難の為だとシェルターが造られ、避難訓練まで行われている。実際に戦闘になれば、全く意味を為さないシェルターである。そして島民がどこの自治体に避難するかの計画まで発表している。
中国が台湾と戦争になって日本も攻撃される、その想定自体が間違っている。日本が軍備増強し、ミサイル基地を造り、中国に届く射程距離のミサイルを配備する、それが危険を作り出し、「有事」を引き起こすのである。
アジアの国々と力を合わせ世界の平和構築へ
日本は侵略戦争で中国や朝鮮をはじめアジアの国々に、残虐の限りを尽くした。そしてそうした加害の歴史に対して、日本政府は謝罪するどころか、認めることさえしない。
南京大虐殺、「慰安婦」、強制連行、強制労働などの史実を無かったことにしようとしている。
被害を受けた中国やスリランカなどは、日本が戦争の惨禍から立ち上がって、世界の平和の為に共に協力し合える国になるようにと、賠償請求権を放棄してくれた。(3面参照)ところが日本はそうした願いに応えるどころか、逆に、アメリカの要求に応え、アメリカの戦略の中で戦争に向かっているのである。
敗戦後80年、戦争を体験した世代が少なくなってきている。語り部も減っている。今私たちは戦争の加害の事実をしっかりと学び、認識し、二度と戦争しないという決意を新たにする時である。
80年前、沖縄では本土決戦を避けるために沖縄戦を強いられた。4人に一人が犠牲になるという悲惨な戦いであった。日本軍は沖縄の住民に「集団自決」を強い、肉親を殺す地獄絵が繰り広げられた。それさえ、軍の関与を否定し、「集団自決」の軍の関与を教科書から消すという暴挙に出た。今、再び沖縄が戦場にされようとしていることに、沖縄の人々は強い憤りを持ち、“沖縄を再び戦場にしない!”と声をあげている。
日本はアジアの国々と力を合わせて、発展していくように舵を切るべきである。そして平和への道は、加害の事実を認め、謝罪することから始まる。共に平和な世界を築くことが日本の唯一の活路である。 (沢)
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2025.08.06
日本新聞
米国の広島・長崎への原爆投下から80年
4633号1面記事
米国の広島・長崎への原爆投下から80年
投下したその年に広島で14万人、
長崎で7万人の犠牲者。東電福島第一原発事故被害を見ても核の平和利用などない。核のない世界を
1945年、今から80年前の8月6日広島へ、9日長崎へ、アメリカは原爆を投下した。世界で初めて人が住む町へ原爆が投下されたのである。広島、長崎の街は廃墟と化し、被ばくした人々は次々亡くなっていった。その年のうちに広島で14万人、長崎で7万人が死亡した。
広島に投下されたのはリトルボーイ(ウラン型の原子爆弾)で、長崎に投下されたのはファットマン(プルトニウム型の原子爆弾)であった。アメリカはこの2種類の威力を試すために、2つの都市に落としたのである。そしてABCC(原爆傷害調査委員会)を設立し、日本にアメリカの科学者や医療関係者がやってきて資料を集めた。被爆者への治療より調査を優先したため、批判された。
広島県立第一中学校生の被害を見ると、原爆の被害の大きさがわかる。第一中学校1年生307人のうち半数の150人は、爆心地(原爆が投下された地点)から900メートルの屋外で作業をしていた。強烈な熱線で皮膚は焼けただれ、全身に致命的なやけどを負った。致死量の放射線が降り注いでいたため、生き残れた生徒は一人もいなかった。
残りの半数は、爆心地から900メートルの校舎で自習していた。爆風で木造の校舎は押しつぶされ、生徒たちはその下敷きになった。熱線で建物に火がつき、生徒たちは「お母さん」などと叫びながら死んでいった。数十人は脱出して家族のもとに帰ったが、1週間後に髪は抜け、歯ぐきから出血するなどの症状が現れた。全身で内出血が起こり、体中に斑点が生じ、腸の内部が崩れ、下血が始まる。生徒たちは衰弱し、亡くなっていった。19人が一命をとりとめたが、その後も苦しみは続いた。高校3年生で出血が止まらずに亡くなった人、大学4年で血液異常が起き、亡くなった人もいる。その後も次々亡くなっていった。被爆者の苦しみは一生の苦しみである。
原爆で行方不明になった人も多い。広島市の原爆供養塔には、引き取り手のない7万柱の遺骨が今も安置されている。
核のない平和な世界に
アメリカでは“戦争を終わらせるために、原爆投下は正しい選択だった”と答える人が、10年前には56%で、今では35%にまで減っている。被爆者の声に耳を傾け、その苦しい人生に寄り添い、核のない世界を求める声が高まった。それが被団協のノーベル平和賞受賞につながった。
ところが今日本政府は、アメリカに対して「もっと核の傘を強調してほしい」などと言っている。原爆を投下したアメリカに、核で脅してほしいと頼んでいるのである。これが被爆国の政府のやることか。
そして「核の平和利用」など不可能であることが、東電福島第一原発事故が明らかにした。事故による被ばくはもちろん、事故収束のために避けられない被ばく作業、それは今も続けられている。原発は事故がなくとも、日常的に放射性物質を環境中に放出している。ひとたび事故が起きれば、制御できない大惨事を引き起こす。
政府は福島第一原発事故に教訓を得ることもなく、“原発のエネルギーを最大限に活用する”エネルギー策を打ち出している。そのために、老朽原発の再稼働、ひいては新設へと動いている。原子力規制委員会が科学者集団ならば、原発から撤退するよう政府に訴えるべきである。ところが、“新規制基準”なるものに「合格」だと、再稼働のお墨付きを与え続けている。実に犯罪的だ。
原爆投下から80年、今日本は原発からの撤退へと大きく舵を切る時である。 (沢)
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2025.07.30
日本新聞
政府、日米関税交渉で国益売渡し奴隷外交
4632号1面記事
政府、日米関税交渉で国益売渡し奴隷外交
自動車大手守るための15%の関税と引き換えに、対米投資最大80兆円、
米国産米・農産物大幅輸入増、防衛装備品数兆円購入。交渉でなく売国
米トランプ政権が世界各国に高関税をかけると脅し、交渉を迫っていたが、日米関税交渉の結果が発表された。日本政府の発表では具体的なことがあいまいにされていたが、米側の発表で全貌が明らかにされた。
とても交渉と言えるものではない。石破首相は「同盟国であっても言うべきことは言わなければならない」「食の安全は譲らない」「時間がかかっても妥結しない」などと発言してきたが、果たして何を言って何を守ったというのか。
関税率が15%になった、果たしてこれを“成果”と呼べるのか。
・対米投資80兆円
・米国産米輸入を即時75%増加
・トウモロコシ、大豆、肥料、バイオエタノールなど米国産品を約1兆3000億円購入
・ボーイング機100機購入
・防衛装備品年間数千億円規模で追加購入
・米国産車、トラックの規制撤廃、米国の自動車企画承認
守ったのは自動車大手の利益だろう。そのために80兆円もの莫大な金を米国に投資するというのだ。日本の経済は低迷し、食うや食わずの人が増えているのに、80兆円も投資し、しかも利益の90%は米国のものだというのだ。
日本はミニマムアクセス米を義務だと曲解し、毎年77万トンを輸入している。このうち米国産米は34万6000トンであったものを、75%増で約60万トンに増やす。ミニマムアクセス米の範囲内だから影響はないと言うが、今後更に増える可能性もある。
米国産農産物の輸入拡大で「食の安全」は守られるのか。米国内で使われない除草剤や農薬が日本向けにはどんどん使われている。
そしてボーイング機100機購入。ボーイング機は2018年にインドネシアで、2019年にエチオピアで墜落事故を起こし、併せて346人が死亡した。今年5月23日、米司法省はボーイング社を不起訴とする内容の合意を交わしたと発表。刑事責任を問わない方針に転換し、遺族から反発が起きている。世界中でボーイング機のトラブルは頻発している。それを新たに100機も購入するというのだ。
日本奴隷外交と対照的な中国の姿勢
中国の姿勢は日本と全く違う。アメリカは当初、中国に145%の追加関税をかけるとした。これに対して中国は125%の追加関税で応じた。
中国に高関税をかけることは、実際はアメリカの経済に大打撃となる。失業者は増え、物価高騰で米国民の生活は苦しくなる。そこでアメリカは中国への追加関税の引き下げを示唆し、中国に交渉を呼びかけた。共同声明で米国は追加関税を撤廃し、当初の34%に戻すとした。中国は世界各国に対するアメリカの関税攻撃を批判し、「機嫌取りで平和はもたらされず、妥協で尊敬を得ることもない」と訴えている。
中国は高関税を課そうとするアメリカに対して、今年1月中旬から、米国産の大豆やトウモロコシの買い付けを停止した。国内生産やブラジルなどからの調達を増やしている。BRICSの連携強化も、アメリカの理不尽に対抗する力として発展している。
今回、日本が米国産の大豆やトウモロコシを1兆2000億円分も輸入することになった背景に、中国の輸入停止がある。アメリカの言う通りに機嫌取りに励んでいるわけだ。ベッセント米財務長官は「日本が合意内容を守っているか四半期ごとに検証する。トランプ氏が不満を持てば、関税は25%に戻る」と言っている。次は軍事費GDP比5%まで引き上げ、駐留米軍の経費負担増と、どこまでも要求されることは目に見えている。
奴隷外交、売国政治に未来はない。米国にすり寄るのではなく、平和のための国際連帯に参加することが日本の活路である。 (沢)