日本新聞
東電福島第一原発事故から15年 さようなら原発集会に8500人
4664号1面記事
東電福島第一原発事故から15年
さようなら原発集会に8500人
「原発再稼働を加速させる」高市政権に反対し、若者達の発言相次ぐ。原発事故を教訓にしない国と電力会社。15年を機に命を守る国に!
3月7日、代々木公園で「とめよう原発!3.7全国集会」が開催された。寒風吹きすさぶ中、8500人が結集した。
主催者を代表してルポライターの鎌田慧さんは「今、世界は人殺しを何とも思わない時代になっている。高市首相は“原発再稼働に向けて官民あげて取り組む”と言っている。先の選挙ではこういう人を承認してしまっている。私たちの力がまだまだ足りなかった。これからいろんな人たちと手をつないで運動を広げていこう」と呼びかけた。
超党派議員連盟「原発ゼロ・再エネ100の会」の阿部知子さんは「浪江に行ったが、人がいない。人の生活を奪い、歴史を奪い、根こそぎ奪い尽くした原発。事故が避けられない原発を終わらせるしかない。そして、ウクライナの状況を見ても、原発にいつ被害が及ぶかという危険。原発は絶対にやめなければならない。IAEAが査察をして“イランに核兵器がある証拠はない”と言った。でもアメリカとイスラエルは攻撃した。イラクはどうだったか。原発を私たちの世代で終わらせよう」と訴えた。
福島原発事故の国の責任は明らか
メインスピーチは盛岡大学学長の長谷川公一さん。
「福島原発事故は東電と日本政府が引き起こした犯罪だ。
昨年9月19日に仙台高裁で開かれた『ふるさとを返せ津島訴訟』控訴審で証言した。事故の引き金になったのは大津波だが、シビアアクシデント対策がしっかりしていれば過酷事故には至らなかった。2001年9月11日の同時多発テロを契機に、保安院の幹部職員13人がアメリカの原子力規制委員会に招かれて、新しいシビアアクシデント対策について詳しい説明を受けた。しかし彼らはそれを電力会社に一切伝えず、対策を先送りした。最高裁は2022年6月17日の判決で国の責任を否定した。しかし、シビアアクシデント対策が不備だったから、福島原発事故は大惨事になったのだ。
今、世界は無人機やドローンが原発を直撃する新たな恐怖の時代が到来している。日本のすべての原発は攻撃に無防備だ。
福島を忘れないことは、平和と安全、命と暮しを守ること。福島だけではなく日本社会全体、東アジアの、さらには地球の、将来世代の命と暮しを守ることです」
原発事故被害者団体連絡会(ひだんれん)共同代表の武藤類子さんは切々と語った。
「2011年の原発事故直後、日本中の市民が官邸前に集まり、原発はいらないとコールを続けた。しかしたった15年で、原発の最大限活用が決められ、再稼働が進められている。特に東電の柏崎刈羽原発の再稼働には深く憤りを感じる。6号機の再稼働が容認され、原子炉を動かそうとしたら制御棒のトラブル、それを対処療法だけで強引にまた再稼働。さらに、中部電力の浜岡原発の地震動のデータねつ造事件は衝撃的だった。電力会社にも、規制する側にも、安全を守る能力も、倫理観も責任感もない。
事故後、年間1ミリシーベルトの基準は20ミリシーベルトに引き上げられ、子どもたちの被ばくを招いた。放射性物質の入ったごみの焼却基準は1キログラムあたり100ベクレルから8000ベクレルに引き上げられた。福島の小児甲状腺がんは417人。
今、私たちは原発事故がもたらすものをしっかりと見つめ、嘘と理不尽と暴力に満ちた歴史を一刻も早く閉じなければならない」
若者達の発言に未来を見る
「柏崎刈羽原発再稼働の是非を考える新潟県民ネットワーク」の佐々木かんなさんから、柏崎刈羽原発再稼働は県民の意思を全く無視して進められていることが話された。「14万筆以上の県民投票を求める署名も無視、10代20代が蚊帳の外に置かれている、“原発の是非は、未来の社会は県民の私たちが決める”と言える若者を増やす」と、元気な発言だった。
「全港湾小名浜支部青年部」執行委員の高木謙さんは、キャラバン隊の団長を務め、全国の仲間と津島原告団の被災した家を見て意見交換をしたり、茨城県各自治体に東海第二原発の再稼働を中止するように要請行動を行ったという。「事実を学び若い世代につないでいくことが、未来を変える力になる!」と張り切って語っていた。
「311甲状腺がん子ども支援ネットワーク」学生ボランティアの佐藤光士郎さんは、「裁判を闘っている原告達が、生きることに正面から向き合って、この不条理な世の中を変えていこうと立ち上がっていることに学ばされる」と話した。
代々木公園にはたくさんのブースが並び、15年間闘い続けてきた姿があった。政府は今、原発再稼働、増設へと動いている。東電福島第一原発事故から何の教訓も得ようとしない。福島の人たちの苦しみを全く見ようともしない。しかし、若者達が登壇して、原発をなくそうと発言した姿にこそ未来がある。命を何より大事にする声をあげ、広げていこう。 (沢)