日本新聞
政府の原発建て替え計画に抗議する
4677号1面
政府の原発建て替え計画に抗議する
経済産業省が廃炉を決めた原発の建て替え数値目標を発表。原発推進、原発頼みに前のめりの危険な方針。原発のない安全な社会実現へ
6月5日、経済産業省は廃炉を決めた原発を建て替える目標を数値を出して発表した。それによると、2040年代までに2~5基、2050年代までに11~14基を建て替えるという。現在、世界的に見ると、原発の建設コストは1基数兆円に高騰している。
2011年3月に東電福島第一原発が次々水素爆発するという過酷事故を起こした。放射性物質の拡散は世界的規模であり、世界に原発の危険性を知らしめた。日本でも事故直後は、原発依存度の低減方針を出していた。
ところが事故からわずか3年後の2014年4月、安倍政権は原発を「重要なベースロード電源」とした基本計画を閣議決定。2022年4月、岸田首相は「原発を最大限活用する」と表明した。そして今回の経産省による建て替え数値目標発表である。政府は2040年度の電源構成としては、原子力で20%をまかなうとしている。2024年度は9.4%だったという。そのための建て替えだというが、巨額の費用をかけて、計り知れないリスクを作り出すなど愚の骨頂である。
今回の発表に先立って、関西電力は昨年7月、美浜原発での次世代型原発への建て替え方針を発表した。市民団体「原発をなくす全国連絡会」は関西電力の原発新設方針に抗議し、撤回を求めている。「脱炭素を考えるなら再生可能エネルギーへの転換に、時間と費用を使うべきだ。福島第一原発事故から15年、今も被害は続いている。いまだに多くの人々が故郷へ戻れず、生業、コミュニティーも壊されたままであり、補償も十分に行われていない。被害から目を背け、事故の教訓を忘却し原発回帰は許されない。関西電力美浜原発での次世代型原発への建て替え方針に抗議し、撤回を求める。すべての原発の廃炉と再生可能エネルギーへの転換を求めて闘い続ける」という声明を出している。政府は市民の声に耳を傾けるべきである。
原発に頼らない社会をめざす「10の理由」
原子力資料情報室はなぜ脱原発なのか「10の理由」を明確に示している。
⑴放射能被害の危険性
チェルノブイリ原発事故、福島第一原発事故に見るように、事故が起きれば放射能が大量に放出される。放射能の寿命は長く、被害は長く続く
⑵放射性物質は増え続ける
通常、原発を動かしている限り、放射能のゴミが大量に発生し続ける。10万年以上隔離の必要があるものもあり、「負の遺産」が増え続ける
⑶核拡散の危険性
プルトニウムや高濃縮ウラン生成は、核兵器製造につながる
⑷労働者の被ばくを伴う
原発の中では多くの労働者が被ばく労働を強いられている。被ばく全体の95%以上が電力会社の社員ではない下請け労働者。また、ウラン鉱山や使用済み燃料の再処理工場でも労働者は被ばくしている
⑸関連施設での危険
原発では核燃サイクルの関連施設が数多く必要。これらの施設も事故の危険性を抱えている
⑹地域の自立や平和を損なう
原発立地自治体では電源三法交付金などで財政が一時的に潤う。地域の自立が妨げられ、地域住民の間に対立が持ち込まれる
⑺情報の隠ぺいやねつ造が起きる
閉鎖的な「原子力ムラ」が形成され、研究費や人事第一になりかねない
⑻原発は無駄が多い
原発は発電時のロスが多く、発生した熱の65%以上が温排水として海に捨てられる。出力調整用の発電所が必要になり、火力、水力などの発電所が余分につくられる。無駄が多い
⑼温暖化を進める
原発を増やせば他の発電所も増え、むしろ温暖化を進める
⑽大停電を起こしやすい
大地震が起きると一斉に原発が止まる。いったん停止すると再稼働までに長い時間がかかり、大停電になりかねない
福島第一原発の廃炉作業も進まない中、原発への回帰はあってはならないことである。原発建て替えではなく、原発からの撤退を求める。 (沢)