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2026.07.15

日本新聞

国の責任を農家に押しつける食糧法改悪

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4682号1面
国の責任を農家に押しつける食糧法改悪

主食のコメを確保するのは国の責務。「需要に応じた生産」と農家に責任転嫁する悪法。農家への所得補償で農業継続の明るい見通しを

 8日、食糧法改「正」案が参院本会議で可決、成立した。
1、需要に応じた生産の促進
2、流通事業の把握強化
3、備蓄制度の見直し
を柱とする。
 1の「需要に応じた生産の促進」では、これまでの「生産調整」の記述を全く削除し、生産に関する政府の関与に関する記述がない。農家に“需要を見極めて生産しろ”と言っているのだ。
 主食のコメを確保するのは国の責務である。米が足りなくならないように、備蓄も確保し、農家の生産を保障するのが政治の最優先課題だ。それを農家に丸投げして「生産量を考えろ」では、農家は安心してコメ作りに取り組めない。
 2の「流通事業の把握強化」では、集荷業者や卸売業者など民間の事業者に在庫量や取引価格の定期的な方向を義務づけ、違反した者には罰則を科すことまで決めた。
 3の「備蓄制度の見直し」では、民間事業者にも約20万トンの備蓄保有が義務付けられた。これも、政府が備蓄を確保する責任を民間事業者に転嫁している。
 つまり、「令和の米騒動」の責任を農家や民間業者に押しつけ、今後の米の供給、流通の責任を農家や民間事業者にあるとするものである。「令和の米騒動」は、政府の責任である。長い間、経費より低い米価に何の対策も取らず、農業では食っていけないという所に農家を追い込んだ。そのため、農業人口は減る一方で、若者が後を継ぐこともできない。こうした状況を放置してきたために、起こるべくして起きたのが「令和の米騒動」である。その後の対策も、ただ備蓄米を放出して、農家に増産を促すこともない。こんな政治では日本の農業は壊滅してしまう。これが実情だ。

 食を保障できない国は滅ぶ

 「食を保障する国は世界を制す」という言葉がある。食料は国の安全保障である。
 アメリカは戦後、食料で日本を支配した。余剰小麦を日本に買わせ、学校給食をパン食にした。「パンを食べると賢くなり、米を食べると愚かになる」という暴論をまき散らした。
 アメリカの食による支配は今も続いている。日本の食料自給率はわずか38%。小麦も大豆も畜産の飼料も、ほとんどが輸入に依存している。野菜の種も海外からのものが増えている。これでは紛争や干ばつなどで輸入がストップした時、私たちは餓死の危機にさらされる。海外からの物流が止まった時、世界で一番餓死者が出るのが日本だという試算もある。
 政府は「有事」で食料危機になったら、政府の命令に従い、花農家も芋を作れ、休耕田を耕して米を作れ、従わないものは罰すると決めた。実に愚かだ。危機だからといって、花を作っていた農家がすぐ芋を作れるか。休耕田で米を作れ、など愚の骨頂と言わざるをえない。何十年も米を作っていなかった休耕田で、米を作るまでには何年もかかるのである。農業のイロハも知らない政治家が、農家から何も学ばず計画を立てているのだから、全く実効がない。
 東大大学院教授で農業政策について打開策を訴えている鈴木宣弘さんは、農家への所得補償を提言している。10アール当たり4万円補償すれば、農家も生きられるし、消費者も安く米を買える。そのために必要な額は約4000億円だというのである。
 日本の今年度の軍事費は12兆円である。いくら軍事費を増やしても、命を守ることはできない。農家が農業を続けられるように保障し、食を確保することが一番大切な安全保障である。今回の食糧法改悪は国を滅ぼすものであり、断固抗議する。     (沢)