日本新聞
えん罪被害者救済の再審法改正を
4681号1面
えん罪被害者救済の再審法改正を
政府案は改悪。検察の抗告全面禁止、全証拠開示の明示がえん罪被害者を救済する道。これ以上、えん罪で人生を奪われない法制定を!
6月16日、再審法見直しの政府案が衆院本会議で可決された。衆院は与党が4分の3を占める状況で、更に参政党も賛成に回った。6月19日から参院での審議が始まっている。参院では与党は過半数に達していない。野党の結束が求められる。
無実の人が罪人にされ人生を奪われる、こうした理不尽に対して断固反対し、冤罪被害者を救済するために再審法を見直す、これはあまりにも当然のことである。右も左も関係ない、一致できることのはずである。しかし、法務省の幹部は検察官として任官し、検察庁と法務省を行き来しながら出世した人たちである。その人たちが考えた再審法見直しが政府案なのだから、誰の立場に立ったものかは明白である。
再審が決まっても、検察官の抗告(不服申し立て)で再審が取り消され、更に何年も何十年も先延ばしにされる。冤罪被害者は高齢になり、あるいはえん罪を着せられたまま亡くなってしまい、遺族が再審請求を引き継いでいる例も多い。その遺族もまた、高齢になっている。
何としても、冤罪被害者救済のために再審法を改正してほしい、そんな思いで全国からかけつけ、7月1日、「真の再審法改正を求める7・1国会請願行動」が行われた。
えん罪被害者を救う実効ある再審法に!
日弁連再審法改正推進室長の鴨志田祐美弁護士は「捜査機関がねつ造した証拠によって、罪もない人が罪人にされる。ようやく裁判所がやる気を出して、埋もれた証拠が出てきて再審開始が認められる。今度は検察官が不服を申し立てて何十年もかかっている。これはおかしいと再審法見直しの声が上がった。国会議員が立ち上がってくれて2024年3月に超党派の国会議員連盟が立ち上がり、2025年に改正法案を作った。検察官の抗告は一律全面禁止、再審請求人が証拠開示を請求したら裁判所は請求人や弁護人に直接開示の命令を出さなければならない、という素晴らしいものだった。これに対して法制審がひどい法案を作った。ところが衆院解散で議員連盟の案も廃案になってしまった。参政党は国会でいい質問をしていたのに、政府案に賛成した。政治の駆け引きだ。人権人道の問題を政治の道具にしてはいけない。今、国会が止まっているが、絶対諦めない」と語った。
日野町事件の坂原弘さんの長男の弘次さんは「6月19日の三者協議で、検察が有罪立証を断念し、再審無罪の確立が高くなった。第二次請求審において、証拠のネガフィルムが開示され、父の無罪が確定されようとしている。証拠開示は絶対必要。最後まで闘った、えん罪で苦しむ方々の救済になるような法改正をしていただきたい」と訴えた。
狭山事件の石川一雄さんの妻・石川早智子さんは「私は、狭山事件の犯人とされ、62年間、無実を訴え、裁判を開始してほしい、証拠を開示してほしいと訴えながら、昨年3月、無念のうちに亡くなってしまった石川一雄の妻・早智子です。夫は“証拠の開示、裁判を開始すれば真実がわかる”そう訴え続けてきた。今の見直し案では、“原則”で抜け道がある。抗告禁止、にしてほしい。私の命のあるうちに再審を開始してほしい。冤罪被害者に寄り添った、本当に人間味のある再審法に変えていただきたい」と切々と訴えた。
62年間も殺人犯の汚名を着せられ、無念のうちに亡くなった石川一雄さん。部落差別によるえん罪と真っ向から対峙して闘った。生まれ変わる時は、またこの村に生まれ、差別と闘いたいと訴えている。
実効ある再審法見直しを求める国会議員たちを励ます訴え、デモの隊列に応える闘いが望まれる。 (沢)