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2026.10.21
日本新聞
軍事費のための増税廃止を
4696号1面
軍事費のための増税廃止を
日本で暮らす市民の生活苦に目を向けず、アメリカの要求で軍事費増やす政府。復興をかたって集めた税金を軍事に回すだましの手口
最近の報道で「防衛費3.5%明示先送りへ」というのがあった。これを見てどう思うだろうか。「あ、明示しないってことはまだ3.5%にしないってことだな」と思わないだろうか。
ところが中味は、3.5%と明示しないがアメリカの要求のGDP比3.5%(20兆円!)に届かせるように、安保関連経費の対象を広げるように検討しているというのだ。3.5%を明示すれば「財源はどうするんだ。また増税する気か。そうでなくとも生活苦しいのに」と反発が高まる。だから明示しないで、いろんな名目を使って軍事費を増やして3.5%に近づけるという、実に姑息なやり方だ。
実はもうすでに、軍事費増のための増税は実施されている。
「復興」をかたって軍事費に横流し
すでに決めている増税、あるいは実施している増税について見てみよう。
東日本大震災は未曾有の大災害であった。政府は“復興財源を確保するため”として「復興特別税」を決めた。
・復興特別所得税…基準所得税額に対して2.1%。2013年1月1日~2037年12月31日。
・復興特別法人税…法人税額に対して10%上乗せ。2012年4月1日~2014年3月31日のところを1年前倒しで終了した。
・復興特別住民税…個人市町村民税・都道府県民税の均等割に年間1000円上乗せ。2014年度~2023年度までの10年間で終了。
問題は復興特別所得税である。今年度の税制改正で、期間を2047年12月31日まで10年間延長したのである。
なぜかというと、2027年1月から、「防衛特別所得税」として所得税額に1%上乗せする。同時に、「復興特別所得税」を2.1%から1.1%に下げる。そうすれば税率は変らない。しかし、「復興特別所得税」は10年延長される。
これは実にずるいやり方だ。税率は変らないから重税感を与えず、今までどおりと思わせて、知らぬ間に増税期間を10年も延長しているのだ。これに加えて、「防衛特別法人税」を基準法人税に4%の税率で徴収する。そして「たばこ税」が2026年4月から段階的に徴収され、現在1本あたり3円も取られている。
こうして高市首相はトランプ大統領の要求の軍事費のGDP比2%を1年前倒しで達成して、ゴマをすったのだ。今また、GDP比3.5%を明示はしないが、さまざまなごまかしの手を使って達成しようともくろんでいる。
アメリカは経済的にも軍事的にも、実質的に中国に追い抜かれている。それを世界周知の事実としないために、中国を仮想敵国とし、中国をつぶしたい。日本や韓国をそのための駒として使い、アメリカ自身は無傷でいたい。この手に乗って日本は、専守防衛戦略から先制攻撃戦略に転換した。これはアメリカ隷属戦略で、日本を守るものではない。新安保三文書=抑止力の強化向上、実は攻撃力強化。武器輸出解禁が示すように、平和ではなく戦争への道に他ならない。アメリカはAIもドローンも好き放題使ってイランを攻撃し、イランの政府高官を大量に殺害した。明らかに国際法違反だ。その同盟国アメリカが戦闘中にミサイルが足りないとなれば、それを日本が補ってもいい、こんなことを決めたのである。全く平和と無縁だ。
軍備増強に前のめりの政策で軍需産業は莫大な利潤を上げ、笑いが止まらない。三菱重工は2023年度は前年度の4.6倍の1兆6803億円、株価は10倍、3年連続で1.5兆円を超える好決算。川崎重工も2030年代には1兆円を目指すと言っている。まさに死の商人である。
軍備増強のための増税に反対し、平和憲法9条を守る反戦平和の声をあげる闘いが重要な時である。 (沢)
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2026.10.14
日本新聞
高市首相所信表明演説 根拠なき「責任ある積極財政」
4695号1面
高市首相所信表明演説根拠なき「責任ある積極財政」
中味のない「経済の力で希望ある未来」。米国隷属、軍備増強で命や
暮らしは守れない。農業など第一次産業の再生、地方再生が最優先
臨時国会開会の5日、高市首相は衆参両院本会議で所信表明演説をした。
冒頭の「日本と日本人の底力を信じてやまない」という言葉は妙に引っかかる。日本人は我慢強い、苦しくてもくじけない、だからもっと頑張れ、と言われているようだ。たとえば今般の長雨による農業被害。これに対して
“ブロッコリー全滅”
“キャベツ全滅”
“市場に野菜が出回らない”などと報じられるが、肝心の農家に対する支援策についての報道は見られない。高市首相に言わせれば「私は日本の農家の底力を信じてやまない」ということか。米農家は昨年に比べて米価は半分以下に下がった。資材は昨年よりはるかに値上がりで、今まで以上に離農する人が増えることは避けられない。
食を守らなければ国は守れない。アメリカは「食は武器だ」と言っている。だから農家への補助金は惜しまない。その武器で日本を支配しているのである。農業を守ることが最優先課題である。
軍事優先で守れるものはない
高市内閣の最優先課題は「経済の力で暮らしを守り、希望ある未来を切り拓く」ことだという。経済の力とは何か。AIや半導体などの分野で官民投資を2040年までに370兆円超にする計画を上げている。例として、熊本に工場を誘致した半導体大手TSMC(台湾積体電路製造)への投資をあげ、「政府の累積支援策を大きく上回る納税額が期待できる」と持ち上げている。TSMCが使う大量の水を確保するために、田んぼに水を貯めている。農家に金は支払われるが、そこで米を作ることはできない。田んぼはTSMCのみずがめと化しているのだ。それが果たして「希望ある未来」と言えるのか。
一方で「日本には世界に誇れる技術がある。技術で勝って、ビジネスにも勝つ」と言っている。確かに日本には技術があった。大田区の町工場をはじめ、世界に誇れる技術の高い職人がたくさんいた。しかし、そうした町工場の技術を大切にせず、技術の継承も守らなかったのが日本の政治である。技術のある人間を守ることをないがしろにした結果が、今日の状況を引き起こしている。
「働く皆様も、子育て世代の皆様も、ご高齢の皆様も、地方で暮らす皆様も、だれもが明日への希望を持てる日本を作り上げる」実に空虚な言葉だ。これを実現するには、今の日本社会を根本から変えなければならない。
東京や大阪などの大都市に人口が集中する現状を変えなければならない。農業や漁業、林業など第一次産業にも力を入れ、地方で仕事があり、生きられるようにしなければならない。そうすれば地方に産業が広がり、職が生まれる。若者も地方で家庭を持ち、暮らしていける。地方からたくさんの品物が安定的に都市に供給できる。それが実現すれば、外国からの危険な品物に頼ることはない。
米国隷属からの脱却を
で筆頭にあげているのはアメリカ。日米同盟を外交・安全保障の基軸だと言っている。在日米軍の円滑な駐留と、沖縄県を含む基地負担軽減は矛盾している。在日米軍基地があるために、基地周辺自治体と住民に多大な負担が強いられている。中国に対して「主張すべきことは主張する」と言っているが、アメリカに対してはどうなのか。在日米軍基地があるために、犠牲にされる女性が後を絶たない、これひとつとっても、基地撤去を求めなければならないが、形だけの「抗議」で終わらせている。
軍備増強で国は守れない。米国隷属の高市政権の向かう先は亡国の道である。持続可能で生きられる国づくりこそが求められている。 (沢)
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2026.10.07
日本新聞
政府は長雨で壊滅的被害の農家に支援を
4694号1面
政府は長雨で壊滅的被害の農家に支援を
米価半減の上に、長雨で稲刈りできず今年の収穫も来年の栽培費用もない米農家。植え付けた苗が冠水、種まきもできない農家救済策を
今年の東京、関東の長雨は観測史上最高となった。体調不良を訴える人も多く、病院で治療を受ける人も増えている。
そして何よりも、農業に与える悪影響が大きい。
稲刈りも遅れ冠水した米は売り物にならず
マスコミは台風25号の時の印旛沼の堤防決壊は大きく報じたが、豪雨の被害はそこだけではない。そしてその時だけではない。8月27日からの雨は、東京で36日も続いたのである。関東も然り。
ちょうど稲刈りの時期を直撃した。雨で田んぼはぬかるみ、コンバインなどの大型収穫機を田んぼに入れることができない。濡れた稲を刈ると、機械の故障を引き起こす。また、収穫が遅れると米粒が水分を吸って肥大化し、内部に亀裂が入る「胴割れ」や、穂についたまま発芽する「穂発芽」が起きる。そうなると、等級が下がり、収入は激減する。乾きが悪いモミが、コンバインに詰まって故障してしまい、にっちもさっちもいかない状況に追い込まれている農家も続出している。
刈ったモミを乾燥機にかけるのだが、湿ったモミを乾かすのに去年の2倍、灯油代がかかっているという。
茨城の50代の米農家の方は、「本当に大変だ。当初は田んぼが池のようだった。今も水が抜けない所が多い。なんとか刈ったモミも湿っているから乾かすのに灯油代がかかる。灯油代も上がっているから大打撃だ。米袋代は40%も上がっている。何から何まで値上がりで、どうなることか。
農家も高齢化しているし、来年は米作りをやめる人が増えると思う。自分も来年の作付け費用をどう、ねん出するか見通せない。明日から晴れる予報なので、とにかく今は刈ってみるしかない」と話していた。
去年上がった米価も今年は半分以下にまで下げられ、その上に長雨被害。これでは立ち上がれない。
米農家だけではない。植え付けを終えたキャベツも冠水で全滅している畑もあちこちで目にする。千葉県や茨城県で人参やさつまいもにも、冠水で腐ったり、日照不足による生育不良などの被害、埼玉県では小松菜やほうれん草が全滅する被害も出ている。
畑が水浸しになって、作物が酸素を吸えなくなり根腐れしてしまう。キャベツやカリフラワーの実が黒ずんで出荷不良になる被害、雨でミツバチが飛ばず、受粉がうまくいかないため、キュウリなどの先が細くなってしまう等々被害は大きい。果樹農家の被害も甚大だ。
現在の収穫ができないことで収入は断たれ、秋冬野菜の栽培にも影響が出ている。白菜などの苗を作っても、水浸しの畑に植え付けすることができない。種を蒔くこともできない。植え付けや種まき時期が遅れると、もうじき気温が下がり、作付けできないことになってしまう。
政府は農家に緊急支援策を
秋までの収穫ができないために、資材の購入資金もない。今後の経営をどうするか、頭を抱えている農家は多い。前述の茨城の農家の方が言っていたように、このままでは米農家も野菜農家も離農に追い込まれる農家が増えるのは目に見えている。
政府は農家のこの惨状にすぐさま救済の手を差しのべるのが、今の最優先課題だ。ところがその動きはない。
マスコミも犯罪的だ。この農業の危機を1面トップで大々的に報じるべき時だが、残念ながらそういう記事は見当たらない。政府が支援策を具体化するまで、農家の惨状を報じ続ける時だ。
改憲やスパイ防止法、武器輸出を論じている時ではない。日本の農家を守らなければ、餓死の危機は目の前に来ているのだ。政府は食と命を守るために、農家が農業を続けられるように早急に支援すべきである。 (沢)