日本新聞
高市首相所信表明演説 根拠なき「責任ある積極財政」
4695号1面
高市首相所信表明演説根拠なき「責任ある積極財政」
中味のない「経済の力で希望ある未来」。米国隷属、軍備増強で命や
暮らしは守れない。農業など第一次産業の再生、地方再生が最優先
臨時国会開会の5日、高市首相は衆参両院本会議で所信表明演説をした。
冒頭の「日本と日本人の底力を信じてやまない」という言葉は妙に引っかかる。日本人は我慢強い、苦しくてもくじけない、だからもっと頑張れ、と言われているようだ。たとえば今般の長雨による農業被害。これに対して
“ブロッコリー全滅”
“キャベツ全滅”
“市場に野菜が出回らない”などと報じられるが、肝心の農家に対する支援策についての報道は見られない。高市首相に言わせれば「私は日本の農家の底力を信じてやまない」ということか。米農家は昨年に比べて米価は半分以下に下がった。資材は昨年よりはるかに値上がりで、今まで以上に離農する人が増えることは避けられない。
食を守らなければ国は守れない。アメリカは「食は武器だ」と言っている。だから農家への補助金は惜しまない。その武器で日本を支配しているのである。農業を守ることが最優先課題である。
軍事優先で守れるものはない
高市内閣の最優先課題は「経済の力で暮らしを守り、希望ある未来を切り拓く」ことだという。経済の力とは何か。AIや半導体などの分野で官民投資を2040年までに370兆円超にする計画を上げている。例として、熊本に工場を誘致した半導体大手TSMC(台湾積体電路製造)への投資をあげ、「政府の累積支援策を大きく上回る納税額が期待できる」と持ち上げている。TSMCが使う大量の水を確保するために、田んぼに水を貯めている。農家に金は支払われるが、そこで米を作ることはできない。田んぼはTSMCのみずがめと化しているのだ。それが果たして「希望ある未来」と言えるのか。
一方で「日本には世界に誇れる技術がある。技術で勝って、ビジネスにも勝つ」と言っている。確かに日本には技術があった。大田区の町工場をはじめ、世界に誇れる技術の高い職人がたくさんいた。しかし、そうした町工場の技術を大切にせず、技術の継承も守らなかったのが日本の政治である。技術のある人間を守ることをないがしろにした結果が、今日の状況を引き起こしている。
「働く皆様も、子育て世代の皆様も、ご高齢の皆様も、地方で暮らす皆様も、だれもが明日への希望を持てる日本を作り上げる」実に空虚な言葉だ。これを実現するには、今の日本社会を根本から変えなければならない。
東京や大阪などの大都市に人口が集中する現状を変えなければならない。農業や漁業、林業など第一次産業にも力を入れ、地方で仕事があり、生きられるようにしなければならない。そうすれば地方に産業が広がり、職が生まれる。若者も地方で家庭を持ち、暮らしていける。地方からたくさんの品物が安定的に都市に供給できる。それが実現すれば、外国からの危険な品物に頼ることはない。
米国隷属からの脱却を
で筆頭にあげているのはアメリカ。日米同盟を外交・安全保障の基軸だと言っている。在日米軍の円滑な駐留と、沖縄県を含む基地負担軽減は矛盾している。在日米軍基地があるために、基地周辺自治体と住民に多大な負担が強いられている。中国に対して「主張すべきことは主張する」と言っているが、アメリカに対してはどうなのか。在日米軍基地があるために、犠牲にされる女性が後を絶たない、これひとつとっても、基地撤去を求めなければならないが、形だけの「抗議」で終わらせている。
軍備増強で国は守れない。米国隷属の高市政権の向かう先は亡国の道である。持続可能で生きられる国づくりこそが求められている。 (沢)