日本新聞
さようなら原発全国集会 雨の中4000人かけつける
4693号1面
さようなら原発全国集会雨の中4000人かけつける
福島原発事故の被害は今も続いている。危険な原発ではなく持続可能なエネルギー政策、戦争ではなく平和な世界を築こうと訴え響く
9月23日、代々木公園で「さようなら原発9.23全国集会」が開催された。主催は「さようなら原発一千万署名市民の会」。あいにくの雨の日だったが、4000人がかけつけた。
今も福島では毎日4500人以上の作業員が、被ばく作業に従事している。事故のために、ふるさとを捨てざるを得なかった人も多い。そんな中、政府は「原発を最大限利用」とエネルギー基本計画を変更し、再稼働を推進している。
“このような無謀な愚策を許してはならない、原発はさようならだ”と、雨の中、4000人もの人が集ったのである。
戦争に向かう政治を許さない
呼びかけ人の鎌田慧さんは「高市内閣はトランプの戦争政策に対して全く抵抗力がない。今、原子力潜水艦をテコにして核武装が始まっていくというストーリーまでできている。福島の事故以来、原発は減らしていくのが内閣の約束だった。ところが岸田内閣以来、『最大限に利用』と、180度転換した。原発は未来がないという運動を拡大していきたい。私の故郷青森県六ケ所村の再処理工場は全く稼働していない。もう30年経った。27回も稼働に失敗している。
私たちは、高市内閣の原発推進政策と対決し、自然エネルギーで行こうという運動を、地道に着実に広げていきたいと思っている。今日は元気に行進していこう」と語った。
次の世代も安心して生きていける未来を作ろう
メインスピーチはピースボート共同代表の畠山澄子さん。
「朝起きてスマホを見たら、どこかで核兵器が使われたっていうニュースが入ってくるんじゃないかと不安だ。今の世界ならあり得る。
この夏、世界各地で豪雨や洪水、土砂崩れが起きた。2年前、地球一周で訪れたアラスカの氷河を思い出す。地元の人がずっと向こうを指しながら、〝20年前はあそこまで氷河だった〟と言った。私達が生きている地球そのものが変わっていると実感した。
戦争、核兵器、自然災害のニュースを見るたび、“もしそこに原発があったらどうなるんだろう”と考える。2011年、地震と津波、福島第一原発事故が重なった福島では、たくさんの人が避難を余儀なくされた。今も帰れない人がいる。
事故が起きなくても、原発は使用済み核燃料という非常に長い時間管理しなければならないものを残す。ウランを掘る場所、原発を建てる場所、核のゴミを置こうとする場所、そこには暮らしている人がいる。その人たちの声はかき消されてきた。
ピースボートでは小さい島国の若者達と一緒に世界を回る。その若者達から“このまま海面上昇が進めば、近い将来、自分たちのふるさとは無くなるんだよ”と言われた。衝撃だった。気候変動の責任がない人たちが最初に深刻な被害を受ける。
原発、核兵器、戦争、これらは全部つながっている。エネルギーの未来を自分たちの手に取り戻すことが大切。ドイツの小さな町で、チェルノブイリ原発事故をきっかけに住民が動き、住民投票などを経て、1997年に地域の電力網を市民の手に取り戻した。日本でも、市民共同発電、地域の太陽光発電、営農型太陽光など、自分たちの地域で使うエネルギーを自分たちの手で作っていこうという取り組みが各地にたくさんある。
技術は人間の素晴らしい力だ。でもその技術が人の命を傷つけ、地球を傷つけ、まだ生まれてもいない人たちにまで大きなリスクを残す。それがわかったら、立ち止まり、舵を取り直せるのも人間の力だと思う。18年前、北米の先住民の人たちから“7世代先のことまで考えて物事を決める”考え方を学んだ。
戦争のない未来、核兵器のない未来、原発に依存しない未来を、次の世代も安心して暮らしていける未来を作っていきたい」
リレートークでは、「ワタシのミライ」の立山大貴さんは「“気候変動の危機を止めるために原発は画期的”という情報が飛び交った。しかし原発は人権の問題だ。都市で使う電気のために、地方がそのツケを払わされるのはおかしい」と訴えた。
原子力資料情報室の高野聡さんは「国は高レベル核廃棄物の最終処分に向けた第一段階の文献調査実施地域拡大に前のめりになっている。茨城県常陸大宮市に対しても申し入れをした。国がやるべきことは、これ以上核のゴミを増やさないこと。強く抗議しよう」と呼びかけた。
「311甲状腺がん子ども支援ネットワーク」の笠谷航平さんは「311当時子どもで甲状腺がんにり患した人たちが、東電に賠償を求める裁判をしている。自分と同世代の人たちが原告で、ものすごい不利益を被っている。進学も就職も選択肢が狭められ、希望をあきらめなければならない。原発さえなければ病気と闘う必要も、何かを諦める必要もなかった。東電には償ってもらいたい。この裁判を是非支援してください」と訴えた。
原発事故のために被ばくし、今も苦しんでいる若者達が400人以上いる。二度とこのような惨事を繰り返さないために、原発は再稼働ではなく廃止すべきだ。参加者は原宿コース、渋谷コースに分かれて、「原発反対!」「再稼働反対!」と街ゆく人たちに訴えた。
(沢)