日本新聞
東電・福島第一原発事故 国と東電の責任は明らか
4697号1面
東電・福島第一原発事故 国と東電の責任は明らか
浪江町津島地区の住民集団訴訟で仙台高裁が国の責任否定の不当判決。今も尚、再稼働強行、核のゴミをむつ市押しつけに住民が抗議
福島県浪江町津島地区の住民が、国と東電に放射線量を事故前に戻す原状回復と損害賠償を求めた集団訴訟の控訴審判決が10月16日、仙台高裁で下された。国の責任を否定し、東電のみに賠償を命じた。
2021年7月の福島地裁郡山支部判決は、国の責任も認めた。ところが、2022年6月、最高裁が福島第一原発事故をめぐる4つの集団訴訟の上告審判決で、国に賠償責任はないとする統一判断を示した。4つの訴訟とは、生業訴訟、群馬訴訟、千葉訴訟、愛媛訴訟である。このため、それ以降はこの最高裁判決に右ならえで、国に責任はないという判決が相次いだ。
今回の判決では「福島第一原発の設置許可について、国の審査基準に不合理な点はなく、違法であるとはいえない」「対策を講じても事故を回避できた高度の(可能性の高さ)があるとはいえず、直ちに違法とならない」とした。裁判長は最後に「何の落ち度もないのにいっこうに故郷に帰れない、一刻も早くふるさとを取り戻したいという痛切な思いはよくわかる。国や浪江町は、住民の思いをていねいにくみ取り、津島の除染や復興に取り組むよう切に願う」と付言した。
原告団長の今野さんは「なぜ判決に反映してくれなかったのか」と語ったというが、実に無念だ。
事故当時約1400人が暮らしていた津島地区に、今は19人しか住んでいない。2023年3月に津島地区のわずか1.6%で避難指示が解除されたというが、まわりは立ち入り禁止、それで安全といえないことははっきりしている。
原発推進は国の政策であり、原発事故はその結果起きた大惨事である。国は責任を持って、被害者の思いに寄り添い、コミュニティを取り戻す対策を取るべきである。
核のゴミをむつ市に押しつける国の方針に住民が抗議
福島第一原発事故の収束がいまだに見通しさえ立たない中で、国は原発再稼働を進めている。その中で使用済み核燃料プールが満杯になる問題が浮き彫りになっている。特に再稼働を進めている関西電力は2、3年後には満杯になる状況だ。そこで、むつの中間貯蔵施設の共同利用が進められている。むつの中間貯蔵施設は一昨年、柏崎刈羽原発の再稼働に間に合わせるように、運用が開始された。政府は「むつの中間貯蔵施設に搬入された核燃料は、50年後に六ヶ所村の再処理工場に搬出される」と説明している。しかし、六ヶ所再処理工場は27回も完成時期を延期し、28回目の延期も現実のものとなってきている。50年後に稼働している保障は全くない。
関西電力は県外に中間貯蔵施設を造ると言いながら約束を破っている。老朽原発を動かす時に条件とした、中間貯蔵施設が2023年末までにできなかったら止めると言った県民への約束も破り続けている。今、関西電力は原発の構内に乾式貯蔵施設設置を言い出した。関西電力の高浜原発は、30キロ圏内に福井県4万7000人、京都府北部10万4000人の人口を抱えている。老朽原発で事故が起きたら福島を超える大惨事となる。
上関に中間貯蔵施設建設の計画もあったが、「関電の核燃料をなぜ上関が引き受けなければならないのか」と反対の声が強く、計画は全く進んでいない。
このように見てくると、原発政策は既に破たんしていることは明白である。全国の使用済み核燃料を青森県のむつ市に押しつけ、なし崩し的に最終処分場にすることは許されない。
破たんした原発政策にしがみつくのではなく、原発から撤退し、再生可能エネルギーへと転換すべき時である。 (沢)